特定外来生物のお話

平成28年11月5日(土)

 特定外来生物のお話

 

10月1日からナイルパーチやヨーロッパオオナマズが特定外来生物に指定されましたね。当店ではフラットヘッドキャットを在庫しておりましたので、これについてはただ今申請手続きの書類を作成中で、一般の方への販売はできなくなりました。申請手続きには6か月の猶予期間が設けられておりますので、該当する生物を飼育されている方で、今後も飼育を継続する場合は来年の3月までには申請手続きを済ませなければなりません。

 

特定外来生物に指定されたことにより、一般の方への譲渡、売買、が禁止になることはもちろんですが、新規での飼育も禁止になります。

 

今回のお話はこの譲渡、売買の禁止についてです。

 

申請を済ませてある許可施設では、特定外来生物を譲り受けることが可能です。なので、例えばナイルパーチを飼っていましたが、事情があって飼えなくなりました。じゃあどうしようかということになりますね。そうなった場合、本来は飼い主が責任を持って殺処分することが望ましいです。外来生物に指定された生物は日本国内では駆除の対象となります。かわいそうだからという言い訳は通用しません。しかし、申請書には飼養が困難になった場合の措置という項目があり、そこには「飼養等許可を受けている他の研究機関に(受け入れが可能な場合)譲り渡す、又は責任を持って殺処分とする。」と記載することになります。万一の場合は責任を持って殺処分をしなければなりませんが、受け入れ可能な施設が見つかればそこへ譲り渡すことは可能だということです。できるだけ不幸な生体を減らすためにはありがたい措置ですね。ただしここにはいろいろな条件や制約があります。

 

まず、愛玩動物として許可をとり外来生物を飼育されている一般の方は許可施設であっても引き取りや譲り受けはできません。譲り受けることができるのは研究施設や販売実績のある施設のみが対象です。つまり、許可を取った研究施設、水族館、お店屋さんは譲り受けることはできるけど、普通に趣味で飼っていた方は、譲り渡すのはいいけど譲り受けるのはダメということです。

 

次に、渡す側、譲り受ける側の双方が許可施設であるということ(法律施行後の6か月は猶予期間が設けられています。ただし譲り受けた側はかならず猶予期間内に申請手続きを済まさなければなりません。)。申請手続きにお金はかかりませんが、手間はかかります。もう飼育の継続ができなくなることが分かってる場合は、来年の3月までの猶予期間中であれば申請手続きが済んでいなくても許可施設への譲り渡しが可能だということですね。来年の4月以降も飼育を継続する場合は3月中までに必ず申請手続きを済ませるようにしましょう!

 

さらに、渡した側、譲り受けた側はそれぞれ個体数の増減届けを提出しなければなりません。渡した側は個体数が減ったことを届け出なくてはいけませんし、譲り受けた側は個体数が増えたよと届け出る必要があるわけです。

 

それともう一つ、水族館などはその都度新規で許可を受けることができますが、販売施設や一般の方では10月1日の施行前から飼育している種類の外来生物でしか許可を受けることができません。つまり、当店ではフラットヘッドキャットは以前から飼育していたのでこれから申請をして飼養施設としての許可を受けることができます。ですから、受け入れが可能な範囲であれば引き取りも大丈夫です。ただしナイルパーチやヨーロッパオオナマズは10月1日には在庫がいませんでしたのでこれらの種類については、今後飼養施設としての許可を受けることはできません。つまり、引き取りなどもできないということです。

 

先にも書きましたが、譲り渡すことが認められたということは万一の場合でも不幸な生体を減らすことができるかもしれないということでは大変ありがたい措置ではありますが、あくまでも受け入れる側の施設が見つかった場合です。欠点のある個体などではお店屋さんや水族館でもそうは引き取ってくれないでしょうから、やはり責任を持って最後まで飼育を続けていくことが望ましいですね。

 

申請手続きについてや、その他のご不明な点は最寄りの環境省地方環境事務所へお問い合わせ下さい。


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